2025年11月号
排外主義を乗りこえる──働く場からの共生
定価550円(税込)

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参院選で排外主義を主張する参政党が台頭しました。さらに、先日の自民党総裁選では、外国人排斥をあおる発言をした高市早苗氏が選出されました。重要なのは、なぜこの10年、欧米先進国と日本で、排外主義が台頭したのか、その背景をつかむことです。
新自由主義、グローバル化がもたらした貧困、格差などの社会矛盾の深刻化(進藤、二宮、増田論文)。加えて小選挙区制によって支えられた自公政権の閉塞。野党も一部を除いて、この構造と正面から対決しない状況。
それらが多くの勤労者に不満を蓄積させ、極右勢力の共鳴盤を生みました(進藤、二宮論文)。
大切なのはあらためて新自由主義やグローバル化と対決する社会運動、政治運動を強めていくことです。それが排外主義の根を断つことになるでしょう。
台頭した排外主義とどうむき合うべきでしょうか。本号では、働く現場での共生の営みに光をあてます。
いまや多くの産業分野に外国人労働者がひろがっています(榑松論文)。
サービス業、製造業、介護、公務の領域において、もはや外国人は、日本社会にとって不可欠の存在になっています。
現場からの証言はそのことを豊かに示しています。それらの現場で労働組合はいかなる役割をはたしているのでしょうか。協働、生活支援、相互扶助。その上に立った連帯、要求実現。「労働組合の原点」、その今日的姿がみえてきます。
まさに労働者、勤労者の視点からの共生の試みです。そこには自らの差別意識を乗り越えていく労働者の姿もみえてきます。
川崎市では、社会運動の力を背景にヘイトスピーチを規制するルールをつくりました。政治変革の芽が育まれています。
こうした労働運動と社会運動のなかに、新自由主義やグローバル化を乗り越える新たな階級的連帯の萌芽があるのではないでしょうか。
外国人労働者との職場における「共生」とユニオン運動──集団的組織化と大幅賃上げ
首都圏青年ユニオン執行委員長 尾林哲矢
2025年参院選での排外主義・極右政党の〝台頭〟を考える
都留文科大学 進藤 兵
世界で排外主義的右翼が台頭する背景
琉球大学 二宮 元
経済のグローバル化と労働者──「日本人ファースト」流行の背景
法政大学 増田正人
あなたのすぐ側にいる 「ガイコクジン」
外国人実習生SNS相談室(元愛労連議長) 榑松佐一
労働相談から集団的組織化へ──製造業現場における、外国人労働者への生活丸ごとの支援・連帯
JMITU愛知地本 大平敞也
外国人の英語指導助手 (ALT)を組織化──仕事への誇りと、〈つながりを支えに〉
群馬県自治体一般労組 團原 敬/自治労連 喜入 肇
介護現場での外国人労働者との共生──東京民医連・健和会と労働組合の経験
健和会介護部長 漆原沙織/東京民医労健和会支部 上野太一
市民と社会運動の力で、ヘイトスピーチ根絶に向けて
川崎市議会議員(日本共産党) 後藤まさみ
クルド人を支援する――外国人排斥に抗して
首都圏移住労働者ユニオン 松澤秀延
〈資料〉外国ルーツの人々についてのウソ、デマ、フェイクを考える
韓流の交差点〈ドラマで読み解く韓国社会〉
『K-popガールズ!デーモンハンターズ』──歌とダンスで世界を救う、新時代のファンタジーアニメ
明治大学兼任講師 桔川純子
連載 憲法そもそも論講座
新自由主義的「教育改革」に抗して 対抗軸は日本国憲法
関西勤労者教育協副会長 長尾ゆり
かがやいています 民青同盟千葉県委員長・小林水晶さん
千葉県学習協会事務局長 斎藤 実
あったかほっこりの労働運動
高井としをのこと
原冨 悟
まんが おかしい~世界
HIRO
シリーズ貧困の現場から
その働き方 、大丈夫?増加、多様化する偽装フリーランス
ジャーナリスト 藤田和恵
グローバルに見る
AIと労働の未来(上)
労働者教育協会理事 筒井晴彦