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集団受講のレポート
2022年度のとりくみ
目黒区職労
千葉土建市川支部
岩手民医労&いわて学習協
国土交通労組関東建設支部
目黒区職労
受講生から現実を学ぶ勤通大学習 目黒区職員労働組合 顧問 高村 重明 次世代育成に位置付けた勤通大 20年にわたって担当した住民運動団体の月刊誌の編集業務が2021年6月で終了し、少し暇になるかなと思ったら、目黒区職労の勤通大担当執行委員から久しぶりに勤通大のチューターをしてもらえないかと言われ、引き受けました。 目黒区職労では、勤通大を次世代役員の育成として位置付け、40歳未満の組合員には受講料を補助して自己負担をゼロにしています。参加者は、普段の職場や執行委員会などではなかなか話せない雑談や情報交換も交えて、組合活動への理解を深めています。 ニュースで話題を共有 労働組合コースは2021年7月から2022年4月までほぼ毎月1回学習会を行いました。受講生は保育園3人、学童保育クラブ児童館1人、庁内事務2人の6人です。1章ごとに報告者を決め、全員で話し合いをします。チューターの私は一緒に話し合いに参加し、最後に「企業会計の仕組み」「核兵器と原発」「なぜ日本の労働組合は企業別なのか」などのミニ講演やフォークギターを弾いて反戦歌を唄うなど自由にやらせていただきました。 学習会の翌日にはニュースを発行しました。以前、勤通大を受講した際は学習会後の二次会が楽しみで、色々な話題でもりあがりましたが、今回は二次会ができません。そこでニュースには私が二次会で話題にしたかった話を掲載しました。第1号から第9号までテーマを順番に挙げると「我が家の家系図」「日本人のルーツ」「五日市憲法の話」「平和のうたごえ」「宮澤賢治とゴッホ」「海外旅行で感じたこと」「星の話」「日本から死刑をなくすには」「ウクライナ侵攻の米国の責任」です。受講生は毎回ほぼ全員出席で6人全員修了することができました。 交流の場で生きた事例が明らかに 私は今71歳です。再任用を終えてから6年も経ちました。現役時代は組合役員をやりながら勤通大のチューターをやっていました。今回は労働組合の現場から離れて久しいので不安でしたが、逆に受講生のみなさんからコロナ禍の公務職場の困難さ、組合離れの現実と対応、日頃疑問に思っていることなど生き生きした声を聞くことができました。一部を紹介します。 「正規職員になる前、非常勤で働いていたが不安だった」「息子が原発で働いていて事故に遭い、組合とともに取り組んだ」「妹がパン屋に勤めているが勤務はとても厳しい」「日本人はなぜ『カローシ』するまで働くのか」「全員解雇を撤回させたタクシーの労働組合が目黒労協に加盟した」「新規採用は半年間年休が取れないと思っていた」「ワクチン接種は休みの日に行っている」「トヨタは良い車を作っているのになぜ低賃金なのか」「学校で労働者の権利を学んでいたら社会人になってもっと余裕がもてたのに」「小さな要求でも実現するとあきらめなくなる」「公務員は住民に事実を伝えて行政を変える役割がある」などです。 また、ある生徒の叔父と叔母がレッドパージで解雇された当事者であったり、ジェンダー平等の話の時に、受講生の一人はジャンケンで負けて姓が変わり、もう一人は夫を説得して自分の姓にしたことが分かったり、教科書の生きた事例が明らかになりました。 勤通大学習会は現実社会との接点 私は江戸川区在住で今年1月まで介護施設で働いていましたが、現在は毎日好きな本を読んだり絵を描いたり、自由な「老後」を過ごしています。勤通大は現実の社会との重要な接点です。大好きなスポーツカー(マニュアル車)を往復2時間弱運転するのが勤通大学習の隠れた楽しみです。9月から基礎理論コースが始まります。今のところ受講生は5人ですが1人でも増やせるよう努力中です。
千葉土建 市川支部
「みんなで同じことを学ぶ」を組織の力に 千葉土建一般労働組合市川支部 書記次長 鴇矢 幸恵 千葉土建市川支部は今年度、支部役員14人と専従書記局5人の総勢19人で「労働組合コース」を受講します。 千葉土建一般労働組合は、大手ゼネコンや地域個人の現場など、職場も職種もそれぞれが異なる働き方をしながら「建設業界で働いている」という共通点で、地域で繋がっている人たちの労働組合です。県内には約2万4000人の組合員がいて、地域ごとに16ヵ所の支部に分かれています。その中の市川支部は結成51年、市川市と浦安市をエリアに約1700人の組合員を組織しています。 オンライン活用し、学習会を継続 従来から学習活動に力を入れてきました。千葉土建独自の労働学校(現在は労教協常任理事の原冨悟さんによる2018~2019年版テキストを使用)では支部の教育宣伝部員が講師を務めて「どけん学校」と称して開校してきました。 また、勤通大にも10年近く前から支部のみんなととりくんでいます。2020年に改訂された「基礎理論コース」は13人で受講しましたが、内容が高度で独習では理解し難しく、スクーリングがとても役立ちました。 ところが、全3回のスクーリングのうち2回を終えて最終講義を予定していた2021年初旬、新型コロナウイルスの感染が拡大して緊急事態宣言が発令されたことにより地域の公民館や会議室が使えなくなり、スクーリング開催の見通しが立たなくなってしまいました。 独習で最後のテストにとりくむことも検討しましたが「みんなで学習したい」との思いで、スクーリングを開催できる会場を探しましたが、どこも人数制限が厳しく会場確保ができませんでした。そこで受講者のインターネット環境に合わせて、自宅または支部事務所に集まってオンラインでスクーリング開催にこぎつけました。 参加者からは「ものの見方や考え方を学ぶ基礎理論コースは理解するのが難しかったけど、これを学んだことで、自己責任論や格差など社会の問題の原因について考えるようになった」という感想も寄せられ、開催できて良かったと主催の教宣部一同ホッと胸を撫で下ろしました。 役員がまず学び、運動の先頭に 今年度、2年ぶりの勤通大で労働組合コースを選択した理由は、コロナ禍で組合の運動がほとんどできていない期間が長く続いてしまったからです。 千葉土建は毎月一度の「班会議」が(役員をのぞけば)組合と組合員の唯一の接点で、顔を合わせて交流や情報共有を行っていました。しかし、新型コロナによりその機会を物理的に奪われ、結集することができなくなってしまい、特に市川支部では2020年2月から2年半以上、一度も開催できてない状態が続いています。 班会議の再開に向け議論を進めていきますが、そのときに「組合員さんたちが以前のように集まってきてくれるのか」、役員も書記局も不安を持っています。組合員に班会議への参加を促すには「結集・団結すること」の大切さを役員が自分の言葉で語れることが重要で、そのためには労働組合の意義や役割、労働組合運動の重要さをしっかり学びなおす必要があると感じ、支部役員全員で労働組合コースを受講することを決めました。 千葉土建の組合員は、上位企業からふさわしい賃金・単価をもらえなかったり、厳しい工期に追われ休みが少なかったりと、共通した労働環境の課題に直面していますが、職種も働く場所や会社も働き方も全然違います。だからこそ、建設業界全体を変えるために千葉土建を結集軸に団結して力を合わせる必要があります。 そのためにもまずは、役員全員がこの労働組合コースを学習して自分の言葉で語れるようになり、先頭に立って運動をすすめていけるようにがんばっていきます。
岩手民医連&いわて学習協
ものの見方・考え方を踏まえて継続的な学習を 岩手民医連 事務局長 吉田 裕也 共通認識のよりどころづくりに 2021年度に勤通大の「入門コース」を岩手県民主医療機関連合会の理事全員で学習することを決め、学習を開始しました。理事会を運営するにあたり、私は感じていることが一つありました。それは、理事内において経験や学習の差があることと、会の発展のためにも共通認識のよりどころを一度作る必要があったことです。理事会では、ものの見方や考え方を踏まえて、継続的に学習していくことが必要ではないか。共通のテキストを用いて、同じことを学ぶことが必要ではないかということで、受講が決まりました。 学習時間は、理事会内に行うこととし、時間を30分としました。また、理事会の最初に実施すると勤務の都合上、遅刻する方もいることを考慮し、学びを保障するために、理事会中に実施することにしました。30分の内訳は、大きく15分学習、15分小グループディスカッションして全体共有という流れで実施しました。グループディスカッションでは、学んだことについて感じたことなど、いろいろな意見が出されました。 職場での学習の提供も 今回の「入門コース」の学習では、言葉の難しさや考え方(捉え方)でひっかかりがある部分がありましたが、そういった意見も交換しながら理事全員で学べたことは良かったと思います。短時間ではありますが、学習とアウトプットをセットにできたことで、より理解が深まったと感じています。なによりも学習を担当して下さったいわて学習協の春山さんが場づくりや、現状の情勢に合わせた学習をしてくれたことで、非常にわかりやすかったと好評でした。 今後の位置づけとして、まだ具体的にはなっていませんが、理事で勤通大の「基礎理論コース」を学習するなど、継続的に学習したほうがいいだろうという意見も出されています。また、それと同時に職場でも学習の場を提供できるように検討していきたいと思っています。 3つの新しさへの挑戦 いわて学習協 会長 春山 一男 前出の岩手民医連の吉田事務局長に勤通大受講の要請をする中で、理事会での集団受講と、そこへのオンラインでの学習援助(理事会自体がコロナ禍で完全オンラインで開催)の話しがあり、それが実現しました。 理事会の年度を考慮し、「入門コース」を全8回の計画で準備しました。これまでも集団受講の援助をしてきましたが、私にとって3つの新しさへの挑戦でもありました。 1つは、理事会という場での集団学習という点です。個々の受講者の対応もありますが、「入門コース」テキスト第5章第3節の「身近に育ち合いの場を」という視点を大事にし、「私はこう思う」という発言をしてもらう手法として、15分の講義時間の中でも必ず毎回のチェックイン(「一人一人」にフォーカスし、参加者全員が発言や行動をしやすくなるよう、心の準備を整えるプロセス)を行いました。 2つめは、全面オンラインでの学習援助です。ZOOMでのグループ分けなどは理事会側で対応していただきましたが、オンラインでの講師活動は初体験となりました。3つめは、15分の時間を、テキスト内容の説明から少し広め、今の出来事との関連などを紹介しテキストへの関心を深め、読んでもらう工夫をしたことです。その助けとしてLINEのオープンチャットも活用しました。 「学習し成長する組織(原文は組織ではなく職場)」にエールを送り、全国に広がることを期待します。
岡山県学習協
誰も取り残さず、学びを力に成長へ ─岡山で71人が受講 岡山県学習協 事務局長 長久 啓太 「みんなで育つ ニューモンキャンペーン」(略称ニューキャン)。今年、岡山県学習協では、勤労者通信大学入門コースの募集を中心に、独自のキャンペーンに取り組んでいます。昨年の総選挙でも感じた「運動力量」の不足。このキャンペーンは、岡山県内に確信をもって活動する活動家を集団で育成することを目的にかかげました。 コロナ、気候危機、貧困と格差、戦争と平和。社会は混とんとして複雑です。でも、社会の仕組みがみえたとき、「一度きりの人生をどう生きるのか」という問いの視野が広がります。勤労者通信大学はその良き教材。なかでも、入門コースはテキストもコンパクトで学びやすく、導入として最適です。5月25日現在、岡山県内の受講生数は71名で、目標の100名には届かなかったですが、近年にない取り組みになりました。 キックオフ集会ではずみをつけて 募集活動は1月早々から始め、訪問した労働組合とは、しっかり懇談してキャンペーンのイメージを共有。1月26日には、オンラインで募集活動のキックオフ集会を開催。11労組・団体から参加があり、ゲストもくわえると19名の参加でした。最初に、チェックインで自己紹介と「今の気持ち」を交流。それぞれの状況やパーソナリティがよく出て、一気に雰囲気がつくられました。勤労者通信大学の山田敬男学長からの熱いメッセージ、高知県学習協の西山潤(にしじゅん・元小学校教諭)さんからは、高知の入門コース集団学習の経験をご紹介いただきました。その後、「推し!入門コース」のミニ学習。さいごも全員発言で入門コースの取り組みに向けた意気込みや問題意識を交流。終始楽しい雰囲気で、充実の一時間に。募集にはずみがつく集まりになりました。 その後、募集活動が停滞した時期もありましたが、最終的に70名をこえ、集団学習は今のところ7か所で予定されています。先陣を切っているのは、労働組合コースを執行委員全員で受講している倉敷医療生協労組。4月から執行委員会のなかで40分ほど時間をとり、学習を始めています。また、倉敷市児島の女性グループは、4人が基礎理論コースに挑戦。難解なテキストにアタマを悩ませながら、みんなで楽しく交流しながら学んでいます。毎月1回、平日の午前中に開催して、終了後には、毎回手作り料理でランチです。 集まるだけで元気になる! 岡山医療生協労組では、5月25日に1回目のスクーリングを開催。19名の執行委員全員で入門コースを受けています。こちらは執行委員会とは別に、勤通大の学習日を設け、進めていきます。この日は8名が参加。1章を中心に、印象に残ったところ、疑問点など出しあいました。またコラムで学んだ「唯物論」「弁証法」もさまざまな意見が飛び交い、楽しい学習会になりました。勤通大学習を担当している執行委員さんは「みんながちゃんとテキストを持ってきたことがまず、すごい(笑)。そしてお互いに『テキストを読もう』と声をかけあう雰囲気がすばらしかった。私自身はテキストを読めていたので、内容に沿っていろんな人の考えが聞けて深まり、楽しかった。やはり、集まるだけで元気になるなと思う。他の人にも来てもらって、楽しく続けたい」と感想を語ってくれました。 集団受講しているそのほかのグループの学習会も、5月後半から6月にかけて、次々とスタートしていく予定です。個々で受講している人へも個別フォロー含め、オンラインのスクーリングなども設定し学習援助をしていく予定です。誰も取り残さず、学びを力に成長をめざします。
東京医労連
西銘塾を通し、楽しく学んだ2021年 東京医労連書記次長 細見学 東京医労連の学習教育活動として「西銘塾」に取り組んでいます。 西銘塾? とは、勤労者通信大学の労働組合コースなどの学習を毎月1回集まって行い、塾長である西銘秀実さんが教鞭をとることから 「西銘塾」となり、東京医労連では毎年の取り組みとして定着しています。 西銘秀実さんは東京民医労の専従として勤務されていた方です。西銘さんの講義の後には、給食担当を決め、 給食付きで交流も行っていましたが、 コロナの影響で今は給食をだせていません(いつか交流できることを楽しみにしています)。 ちなみに、私は料理を趣味としており、毎日のお弁当作りや、休日に時間がある際にはラーメンをスープから作り、家族に提供しています。そのこともあり、西銘塾の給食担当として活躍していました。 2021年度、目標を150名として募集し、 東京医労連加盟の各労働組合から、60名の申し込みがありました。 基礎理論コース3名、入門コース3名、労働組合コース54名となりました。 生徒さんが通う教室としては、日本医療労働会館を中心とした西銘塾のほかに、集団で申込みのあった、慈雲堂労働組合の慈雲堂講 (労働組合コース) 、同じく東京民医労病体生理研究所支部(労働組合コース)にも講師を派遣しました。 半年間ともに学んだ仲間と最 後に卒業式もおこなって 西銘塾は9月から開講し、毎月第3木曜日の18時30分から20時まで講義を行い、その後、給食は出ない中で交流を行いました。 入門コースの講師は青山光さん (東京医労連書記長)、労働組合コースの講師は私が担当し、毎回、10名~15名ほどの参加がありました。交流では、労働組合活動の悩みがだされ、参加者が日頃感じている組合活動について話す場となりました。 西銘塾は3月で講義が終了したため、卒業式を準備し、卒業証書授与式を2022年3月19日に浅草公会堂で行い、11名が参加しました。 卒業式では、東京医労連(教宣部長)の吉里智宏さんより卒業証書が手渡され、参加者全員(入門コース2名、労働組合コース9名)が卒業しました。 卒業にあたり私がミニ講義を行いました。講義の内容は、社会科学について、科学的なものの見方、考え方を「哲学」「経済学」「階級闘争論」 を説明した後に、三上満先生の著書「人間の明日と向き合う」を引用し、学びの道にゴールはなく、引き続き一緒に学んでいくことをよびかけました。 その後、生徒さんから卒業にあたっての一言として「講義のなかでロシアのマクドナルドの話は印象に残っている」など思い出が語られました。 最後に、生徒さんから、呼びかけの言葉があり、「旅立ちの日」を熱唱して卒業式を終えました。 学ぶことで確信生まれる・・・ 引き続き学ぶ場を設けていきたい 毎年、行ってきた西銘塾を今後も続けていきたいと思っています。 学ぶことで、労働組合の役割が理解され、日々の活動に確信を持って活動していけると考えています。 私も、実は経験がないなか、東京民医労健康文化会医療労組の組合書記長となり、右往左往しているなかで東京労働者学習協会の東京労働学校を受講して労働組合の歴史や権利を知り、組合活動に確信がうまれました。 やはり、学ぶことは大切です。 今年も勤通大に生徒さんを集め、一緒に学ぶ場を設けたいと考えています。
国土交通労組関東建設支部
採用1~3年目 青年の受講生を組織、勤通大で労働者の権利と労働組合の活用を学ぶとりくみスタート! 国土交通労組関東建設支部 副委員長 野木村哲由 コロナ禍のなか公務職場でも、在宅勤務・時差出勤の拡大、会議・研修はリモートを基本に開催されるなど、コミュニケーションが困難な状況が続いています。一方で業務執行の期限は変わらないため長時間過密労働は以前より増して深刻化し、こうしたなか採用された青年職員は、「回りの人は忙しそうで聞きづらい、相談しにくい」「いきなり一人前として仕事を任される」など、コミュニケーション困難に加え「孤立化」し、それがメンタル疾患や辞職にも繋がっている状況となっています。 また、労働組合にも多くの青年組合員が加入していますが、職場分会の組織活動の低下や、機関紙の配布すら困難な分会もあり、労働組合に期待をよせて加入したものの「ほったらかし」の状態もあり、「脱退」へと繋がるケースも少なくありませんでした。 学習教育委員会を設置し、財政支援も決めて受講者を組織 関東建設支部は執行委員会で、分会組織の体制確立・職場活動改善は急務であり、同時並行的に将来の組織を担う青年組合員を育てる活動(学習)も行う必要に迫られていました。 そんな中で勤労者通信大学は、セミナー参加もありますが、独習が基本であり、コロナ禍でも対応できる学習システムであることから、関東建設支部として9月開校「労働組合コース」に1~3年目採用の青年組合員を対象者として絞り込み、受講料の財政支援も決定、その推進力となる学習教育委員会も設置し、受講者組織を始めました。 訴えは、対象者に個別に行い「労働組合コースでは労働者の権利・労働法制・社会のしくみを学べること」「学校では教えてくれない労働者の権利や、ひとり一人では弱い立場の労働者でも、労働組合をつくり活用すれば労働組合を通じて自らの権利を守れること」「これから長い社会生活の上でも役立つこと」を丁寧に訴えるなか、7名の青年受講者を組織、支部役員も4名サポートとしてつき、全体11名でスタートしました。 学習を通じた仲間づくりを大切に 受講者は関東一円の出先機関に点在していることから、メール・電話中心のサポートでしたが、11月20日に労働者教育協会から講師を招いてWEB併用で第1回学習会を開催しました。参加した7名は初めて顔を合わせての学習会となり、労働組合に加入した動機や、今職場で困っていることなど共有することができました。 また、国家公務員の初任給最賃割れが拡大するなかで、全労連作成の「21秋闘学習ビデオ」(最賃1500円)での学習会も実施しました。参加者からは「自分の置かれている状況がわかった」「初めて知る内容だった」などの感想や、「公務員の職場に組合は無いと思っていた。何かあったときに組合は助けてくれると思っている。いろいろと相談したい」などの発言もありました。 職場が点在し、どうしても独習が基本となってしまいますが、今後もメール・WEBを活用し継続的なサポートを行っていきたいと思います。いま、困難な状況が続いてはいますが労働組合を通じた仲間づくり、学習を通じた楽しい仲間づくりを行っていくことが大事であることを「つかんではなさず」に全員修了に向けてがんばっていきます。
JMITU日本IBM支部
チューター制度を利用した基礎理論コース学習のとりくみ JMITU日本アイビーエム支部 書記長 杉野憲作 JMITU日本アイビーエム支部では、新たに中央執行委員になった人に勤労者通信大学の受講を勧めています。優遇策として、修了テスト提出を経て修了証を提示していただいた人に全額を支部で補助しています。 今回、2人が新しい中央執行委員として就任されたことをきっかけに、勤労者通信大学の基礎理論コースの受講をしていただきました。 私は教育学習部を運営していましたので、どのようなかたちで学習を支援したらよいか考えていたところ、ちょうど良く「すいせんチューター」の募集があり、チューター登録して、学習援助することにしました。この経験を報告させていただきます。 教えないチューターをめざし 日本IBMには優秀な人が多いため、あまり頭ごなしに教える「講義」をすると、きっと反発を受けるだろうなという思いがありました。だいたい私も頭ごなしにやられると反発する人ですし(笑)。 そこで、チューターとしてすすめるにあたり以下を方針としました。 1.あくまでも学習者が興味をもって自らすすんで学習するきっかけづくりに徹すること。 2.従って教科書の内容を「講義」したりしないようにすること。 3.ペースメーカーとなるべく定期的な会議を持つようにすること。 4.コロナ禍における学習なので、リモート会議でこれらを実施すること。 チューター用にいろいろ送られてくる資料を拝見しながら、方法を模索していたところ、各章の最後にある「第〇章で考えてみる問題」について、リモートで受講者に順番に口頭で考えを述べてもらえば一方的な講義をしなくても済むことに気がつきました。この「考えてみる問題」は、単純なイエス・ノー形式のクイズではなく、また、正解・不正解がバッチリ決まっている問題でもなく、さらに、ある程度各章のキーポイントとなる部分を読まないと自分の意見が言えないため、かなり良くできていると思います。 受講者の意見に共感して 基礎理論コースは各章を1ヵ月で終えれば良いように設計されていることから、毎月1回リモート会議で「考えてみる問題」をみんなでやることにしました。 すすめ方としては、自らすすんで学習するきっかけとしていただくため、とにかくがんばって学習してくれた受講者が意見を述べてくれたことについて「ちゃんと分かるよ」と伝えることに全力を尽くしました。その際、教科書の対応する場所を示しながら、「ここにこんなことが書いてあるから、そう思ったのだね」と必ず後でもう一度読んでいただけるようなきっかけを残しながら相槌を打つことを心がけました。 受講者からは以下のような感想をいただいています。 ・普段あまり考えたことがなかった社会的なことを考えるきっかけとなった。 ・労働組合と政党との関係を整理して理解することができた。 当支部では、せっかく勤通大を修了したのに、そこで学習を止めてしまってはもったいないという思いから、「継続学習会」を月1回のペースで開催しています。 これは、『学習の友』をみんなで読み合い、感想や意見を自由に言い合うというスタイルですすめています。
全司法労働組合
目の前の課題だけでなく 「基本的な学習」を仲間とともに 全司法労働組合 中央執行委員長 中矢 正晴 ●「いろんなことを知りたい」の声 全司法でも次世代の活動の担い手を作ることが大きな課題になっていますが、新たに労働組合の活動に関心を寄せ、役員を引き受けて活動に参加してくれる人たちも徐々に出てくるようになりました。そうした人たちから、実際に活動してみた後、「自分は知識が不足している」「もっと、いろんなことを知りたい」という声が出されています。 運動を提起する文書に目を通し、集会・会議に参加し、「昨年どうしていたのか」という資料が手元にあれば、目の前の課題にとりくむことは可能だと思いますが、それだけでは、どこかで行き詰ってしまうことがあります。また、思いきって運動スタイルを変えようとする時に労働組合に関する基本的な考え方を踏まえておかないと、どこを変えて良いのか(変えてはいけないのか)がわからず、とりくみが「迷走」しかねません。 賃金とは何か、労働組合とは何か、労使関係とはどういうことか、職場には問題や不満があるのになぜ「要求」として出てこないのか…。活動で壁にぶつかった時、基本的な考え方を知っておくことが必要になると思います。以前、労働組合はもっと頻繁に学習会を実施し、そこで扱われていたテーマはその時々の情勢や課題とともに、理論的・体系的なものが結構ありました。私自身、自分で運動を作っていく時、そうした知識が役立っていると実感します。 ●独自スクーリングで学習 そうした学習をするには勤通大が最適です。しかし、忙しい職場実態や目の前の課題の多さもあって、なかなかとりくみが進まずにいます。また、実際に知識を身につけていくためには、学習をサポートし、みんなで一緒に学ぶことが必要です。今回「労働組合コース」のテキスト改訂があったので、一歩踏み出してみようと思い、全司法独自のスクーリングを計画しました。コロナ禍のもとオンラインの活用が一般的になってきたことから、全国的に呼び掛け、本部役員である私がチューターになってZoomミーティングで参加してもらい、その様子をYouTubeで配信する方法をとりました。参加者からは、以下のような声が寄せられています。 ●運動に対する姿勢に勇気がわく 「社会の仕組みや情勢とともに、労働者・国民に対する攻撃の本質を学習することは、日頃の職場での活動をしていくうえでも必要なことだと思いました」「一人で学習するには、継続したやる気や努力が必要になると思いますが、このようなオンライン・スクーリングの機会があることにより、全司法の仲間とともに楽しみながら学習することができています」「何歳になっても学習は必要だと実感しています。忘れている内容も多く、繰り返し学習することで知識の定着がはかれますし、学習して社会の仕組みを理解していけば、なぜそのとりくみが必要なのかをしっかり説明できるようになるはずですから、私の言葉にも説得力が出てくるはず。何より、自分の運動に対する姿勢に勇気がわいてきています」 「受講は2回目です。当時は空いた時間に一人でテキストを読み込み、テストに回答していましたが、一人だとどうしても学習しているというよりは読書をしているような感じになっていました。双方向での学習は質問があればその場で速やかに疑問を解消できる利点があり、また一緒に学習する仲間がいることで意欲も向上します。非常に有意義に学習ができていると実感しています」。 スクーリングはテキストの構成に対応して全3回で実施しています。まだまだ初歩的なとりくみですが、より多くの参加が得られるようにブラッシュアップしていきたいと思います。なお、9月22日に実施する第3回のスクーリングの視聴を公開します。よろしければご覧ください。
徳島県自治体一般労働組合
徳島県自治体一般労働組合
徳島県自治体一般労働組合
勤通大の学びを力に地域づくり、職場づくりの活動を進めたい 徳島県自治体一般労働組合 太田 久恵 ●組合を大きくするために学びから 徳島県自治体一般労働組合は誰でもいつでも一人でも入れる個人加盟の労働組合で、現在400名ほどが組織されています。職場に複数の組合員がいて職場支部を作っているところも一部ありますが、ほとんどは組合員が一人きりの職場で、その組合員を地域ごとに集めて地域支部を作って活動しているというのが特徴です。 その中で今年に入り、組合への新規加入者が数名増え、さらにその中から支部役員も生まれて、手薄だった徳島支部の組織も徐々にではありますが、整えられてきました。みんな、今まで組合経験の全くなかった青年・中堅どころの仲間たちばかりです。 そこで、組合をより大きく確かなものにするためには活動家自身の学びが何より必要だと今年度の勤通大は徳島支部の新規役員を中心としたメンバーで受講し始めました。 ●互いの意見を理解することで仲間意識も深まって まず、受講生の中から学習会当日の担当者を決め、運営することにしました。学習することが日常生活の一部になるように、なるべく連絡を密に取り合うようにしています。そして、テキストは事前に目を通しておくように、と申し合わせているところです。 受講当日は、関西勤労者教育協会作成の牧野広義先生の講義によるDVDを活用させていただき、講義の後に話し合いの時間をとるようにしています。 DVDは1章ごとの編成になっていますが、これを2回に分け、毎月2度の受講日を設けることで1ヵ月で1章ずつ終えるようにしました。1回あたりの講義を短くすることで時間的な余裕も生まれ、受講後の質問や感想を充分に出し合うことができるようになり、互いの意見や感じ方の相違も理解しやすく、仲間意識に深まりが出てきたようにも感じられます。少人数の受講生ながら出席率はほぼ100%で、参加者は熱心に取り組んでいます。 ●科学的社会主義は人間の解放 受講後の感想を紹介しますと… 「科学的社会主義は、人間の解放だと感じた」「科学的社会主義は資本主義の矛盾と労働者の闘いが高まる中で生まれたことを学んだ」「人間は労働をして進化してきたのだと改めて感じた。繰り返し学び身につけたい」「自分だけの経験に頼らず、人々の経験、歴史的な運動など踏まえての判断が重要」「対話することで新しい発見や価値観に気付く。それは幸福な生き方に繋がるものだ」。などと寄せられており、活気ある学習会となっています。 ●学習を積み重ね、励まし合って 参加者は懸命に取り組んでいますが、もちろん学習は一度きりの講義で身に付くものではありません。今後もさらに学習を積み重ね、理解を深めていくことが何よりも重要です。相互に励まし合い、努力していこうと話し合っています。 そして、勤通大で得た学びを力に地域づくり、職場づくりの活動を今まで以上に進めていくことができるように頑張りたいと思っています。
埼玉土建一般労働組合狭山支部
23人が卒業、勤労者通信大学 コロナ禍でも学習の前進を 埼玉土建一般労働組合狭山支部 小野塚 大樹 埼玉土建では、支部の学習制度として哲学・経済・労働運動の基礎理論を学ぶ「労働学校」や勤労者通信大学の受講を位置づけ、91年以降、各支部ですすめています。 ●補助をおこない入門コースを学習 例年7月から支部労働学校を開催するため、5月に講師の準備を始めるところですが、講師養成講座を含めて全県的に延期となったこと、いつ収束するかわからない状況であることを踏まえて「今だからできること」は何かを考慮し、思い切って20年は「外出せずに学ぶことができる」勤労者通信大学に集中することを4月に相談しました。 参加対象は、支部四役常任、分会教宣部長、書記局員、昨年度労働学校卒業者、主婦の会四役専門部長、希望する組合員と家族とし、本部補助5000円と支部負担3000円を合わせ、自己負担なしで学習に臨むことができるよう設定し、18年に新設された「入門コース」に32人の仲間が入学。卒業記念品を用意して、期間は5月に募集して6月からとし、スクーリングは仲間が集まれる状況になったら大きな会場で開催することとし、それまでは「学習を励ますニュース」等を活用して受講生同士の交流を図りました。 ●昼と夜に分かれてのスクーリング 主婦の会会員を中心とした昼のグループと、そのほかの受講生は夜のグループに分かれ、それぞれ別日程でのスクーリングを開催しました。組合員グループでは、第1回スクーリングを9月18日(金)に開催し12人の仲間が参加。第2回目のスクーリングは11月26日(木)に開催し、12人の仲間が参加しました。 第1回目のスクーリングはレジュメを用意せず、1回目のテストの答え合わせを中心に行いました。学習委員長は開会の挨拶で「木を見て森を見ずでは、物事の本質を理解することはできない。知識をつけることが大切だ」と述べ、司会進行は担当書記が務め、テスト範囲に関係する部分を読み合わせ、答えに入る語句は何かを確認し合い、歓談も交えながら楽しく学習することができましたが、内容についての討議が弱く、意見を交わすことができませんでしたので、次回スクーリングでは進行方法の改善が課題となりました。 ●意見がわかれ議論が白熱 第2回目のスクーリングは、2回目のテストの答えに関係する範囲をまとめたレジュメを作成し、テキストを読む時間を短縮しつつ、討議の時間を設けました。参加した仲間からは積極的な発言が見られ、「政治運営について小選挙区制ではなぜ1票の不均衡が生まれてしまうのか」「沖縄に住む日本人よりも沖縄で訓練するアメリカ人の方が優先されていること」「利潤第一主義がもたらす長時間労働などの問題点」では、とくに議論が盛り上がりました。 参加者からはテキストの内容に対して、賛成の意見もある中、反対意見も見られました。「資本主義の利潤第一主義では長時間労働や過剰生産が問題となっていて、計画経済を取り入れて社会的な生産に切り替えていくべきだ」という意見に対して、「計画経済には賛成できない。なぜなら生産物のクオリティが著しく下がり、粗悪品が出回るようになるから」という意見がありました。一人ひとりの意見の違いが顕著にみられ、議論を重ねるための大切な機会になりました。第1回目の教訓が活かされ、仲間からは「議論が白熱し記憶に残るスクーリングになった」と感想が出されました。 スクーリングに参加できなかった仲間にも、一人でも多くのテスト提出を呼びかけるため、受講生全員にテスト提出へ向けた「学習を励ますニュース」を7月、10月、12月の全3回発行、最終的に23人が卒業しました。 ●『友』300円キャンペーンも 21年度は主婦の会を中心に14人が労働組合コースを受講。労働学校開校に向けては、講師や広い会場の準備をすすめているものの、会場が使えない場合を考慮して、日曜日の開催やWEB開催を検討していきます。また仲間への学習をすすめるため、5月から半年間限定で、支部で購読料210円を補助して、ひと月あたりの本人負担300円でお試し購読ができる「学習の友300円キャンペーン」を企画し、広く購読を呼びかけていきます。コロナ禍でもできることを模索し、学習活動をすすめていきます。
建交労愛知学童保育支部
みんなで学ぼう 勤通大 建交労愛知学童保育支部 書記長 田村一志 ●支部結成45周年を迎えて 私たち、全日本建設交運一般労働組合(建交労)愛知学童保育支部は、勤労者通信大学の受講を組織的に取り組み、今年の春は支部執行委員のなかで14人が労組コースを受講しています。 支部結成は1976年で、今年で45周年を迎えます。結成当時にいた方は定年退職をしており、当時を知り、語れる方は今一人しかいません。 結成当時、学童保育は社会的にほとんど知られておらず、まして学童保育指導員は、夜間学生が昼間のバイトとしてやっていた状態でしたから、身分や労働条件はおろか、職業なのかどうかも判然としない時代でした。 しかし、指導員たちは学童保育所での子どもたちの保育は、バイトのような片手間な仕事ではできない、しっかりとした身分保障の下で働くことが必要だと気づきはじめていきました。同時に、保育内容をどのように作ればよいのか、という実践上の悩みも抱えていました。このようなことを契機に労働組合づくりへと発展していきます。 ●組合員の力量を高めよう 労働組合ができても、不安定な雇用、低賃金という状態はなかなか改善が進まず、毎年のように退職者が大量に生まれ、最も多い時期は、一年間で組織の4分の1くらいが退職し組合を脱退する状況でした。 今の時代になって学童保育の公的補助(国や自治体)は、かつてから比べれば随分増額していますが、制度や施策は他の児童福祉施設などと比べてもまだまだ低い水準でしかありません。 こうした背景があるため、学童保育制度を確立し、長く働きつづけていくための労働組合活動は、並のことではありません。 今、組織全体も執行委員会の構成も若い人が増え、労働組合とはどういう組織か、なぜ今私たちがこういう活動をするのか、ということを勉強しながら行動していくことが本当に求められています。多くの単産、単組と同じように組織拡大と組織強化は私たち支部の大切な課題です。 組織実態は、男性80人、女性111人(正規162人、非正規29人)。勤務年数は、0~5年:89人(47%)、6~14年:46人(24%)、15~24年:30人(16%)、25~34年:12人(6%)、35年~:14人(7%)です。 ●勤通大で労働運動の確信を深めよう 支部執行委員は、14ある地域分会から送り出されています。会議は、毎月第1~3の月曜日の夜2時間、コロナ禍の影響で基本的にオンライン会議となっています。コロナ禍が拡大するまでは、執行委員会の冒頭で10分間の学習時間を設けて『学習の友』や建交労の機関紙、新聞記事などから記事を選び、読み合わせ、感想の出し合いなど、少しずつでも執行委員の力量が高まるように取り組んできました。 しかし、オンライン会議になってから、その学習時間がとれていません。 当初、勤通大の受講は、こうした学習活動の延長であり、執行委員全員で受講という方針でした。しかし、ここ数年、勤通大を話題に挙げていなかったツケがまわり、「勤通大ってなんですか?」「どんな勉強ですか?」「現場が忙しいのでとても余裕がない」など、戸惑いの声があがりました。執行委員長から、あらためてこの受講の意義が話され「ぜひ多くの執行委員が受講して組合員として力をつけていこう」と呼びかけられ、上記の人数が受講することになりました。 そして、受講した全員が修了できるような指導体制(というほど立派ではないが)と集団学習の場を作ることとしました。まず、過去に勤通大を修了した執行部内の5人がチューター登録をし、指導役となること。受講者は基本的に独習を進め、集団学習の場でテスト回答をみんなで確認し合う、感想を出し合うなどをしていく予定です。 取り組みはこれからですが、全員が無事卒業し、何より労働組合への確信がより深まり団結が高まるような取り組みにしていきたいと思います。
尼崎医療生協
確信をもって運動に取り組むには科学的社会主義の視点が重要 尼崎医療生協 専務理事 瀬井宏幸 確信をもって運動に取り組む には科学的社会主義の視点が 重要 尼崎医療生協は70年を超える歴史をもち、民主的医療運動に取り組み、大きな役割を担ってきました。 私が2020年に専務理事となった際、まず自分の最も重要な任務は何かを考えました。結論は、10年後、20年後にも尼崎の地に民主的医療運動が存在し、役割を担い続けていることであり、そのためには社会変革の視点をもった幹部職員をしっかりと育成しておかなければならないということでした。もちろん民医連の理念や社会保障、平和など「OJT-OFF-JT」 に取り組んでいます。しかし、どんな情勢の下でも確信をもって民主的医療運動に取り組んでいくためには、弁証法的唯物論や科学的社会主義の視点が欠かせないのです。 問題意識にピッタリ応える勤通大勤通大の講座は、弁証法的唯物論や科学的社会主義を、わかりやすい表現でコンパクトにまとめられており、私の問題意識にピッタリと応えてく れるものとなっていました。そこで、2020年度より尼崎医療生協の制度教育の一つに勤労者通信大学を導入することにし、初年度は入門コース30名、基礎理論コース36名の受講がありました。組織力が低下している労働組合も共同で取り組んでもらうことにしまし た。(ほか、憲法コース1名)スクーリングはZOOMも活用 「テキストも講義もおもしろい」の声 しかし、「階級闘争」という言葉に初めて触れる職員ばかりですし、経済学をかじったこともない職員もいる中で、「難しい」「卒業できるだろうか」との不安の声が多く寄せられました。 そこで、関西勤労協の中田進先生に相談に伺ったところ、親身に相談にのっていただき、入門コース2回、 基礎理論コース3回のスクーリングをしていただけることとなりました。 スクーリング1回目はZOOMでも参加できるように工夫しました。 参加したある幹部は、テキストも講義もすごくおもしろいと目を輝かせてくれていました。また、「難しい。 修了できる自信がない」といっていた職員は、テキストを読んで、色付きでまとめているノートを見せてくれました。 全員修了を目指して引き続きスクーリングやフォローに取り組みます。 コロナ禍で問題があぶり出される中、勤通大の役割は増している 2回目のスクーリングは、 尼崎医療生協病院で新型コロナウイルス感染症クラスターが起こってしまい2か月ほど延期となりました。 クラスター対応は本当に大変でしたが、この大元にも医療・福祉よりも経済を優先してきたことが、病床逼迫、医師・看護師不足に影響を与えています。 コロナは様々な分野で資本主義の矛盾を炙り出しており、勤労者通信大学の役割は益々増しているものと思います。 私は定年まで、あと10年ほどになりますが、勤労者通信大学の修了生を毎年つくっていくことを一つの使命とするつもりです。
全労連・全国一般宮城一般
組合活動は学習が力! 一人より集団がいい! 難しい言葉に目しろくろ 全労連・全国一般 宮城一般労働組合 副委員長 遠藤 義輝 全労連・全国一般労働組合では、勤労者通信大学の学習および取り組みを重点方針にかかげています。 2016年度からは、全国一般労働組合本部で費用の半額補助を始め、毎年100人程度が継続した学習をおこなっています。私たちの宮城一般労働組合でも、この方針を受け、今年度の8人を含め、2016年からの5年間で34人の各支部の役員が受講しています。 学習すすめる中で言葉にも慣れて 最初に取り組んだ時は、平均年齢50歳を超え、すでに頭がガチガチに硬くなった受講者で、「仕事から自宅へ帰ってもお酒を飲んで寝るだけ」「もう何十年も勉強していない」という方が多く、ほとんど騙されて受講申し込みをした組合支部の役員でした。送られてきたテキストや問題を初めて見て全員目がテン。一気にテンションが下がる様子がうかがえました。特に基礎コース(現在の基礎理論コース)は、眠気とたたかいながらの宿題となり、苦労をしたとの声が聞かれましたが、単元が進むにつれ、頭も柔らかくなり、言葉にも慣れてきたようでした。 みんなで楽しく学ぶことを大切に! まずはやってみる 宮城一般労働組合では、「みんなで楽しく学ぶことを大切に!」を掲げ、まずはやってみる。日にちを決め、みんなで持ち寄り答え合わせをするところからはじめました。 役員を中心に勤通大を学習の柱に 毎回、宮城一般本部事務所に集合し、おいしいお弁当を食べてから各自が記入してきた回答を1問目から順番に自分の回答を発表し合いました。自分の回答と違った時は、どうしてこの回答になったのかを説明し合う進め方を続けてきました。 修了してみれば、「……など今まで気にならなかった日常に疑問が持てるようになった」などやり切った自信が受講者からいつもうかがえます。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い宮城一般本部に集まることができなくなり、各支部の取り組みになりました。そのような中でも、みやぎ生協支部労働組合専従3人が無事修了し、東北大学生協支部の四役5人も修了しました。 宮城一般労働組合では、引き続き、新しく迎えた役員を中心とした勤労者通信大学の取り組みを学習の柱にしていきたいと思います。 組織的な弱みの払拭へ! 支部役員や青年にも学習を広げたい 宮城一般労働組合東北大生協支部 支部長 松野 光希 宮城一般労働組合東北大生協支部(以下、支部)では、2020年度の勤労者通信大学基礎理論コースに四役5人(支部長・副支部長2人、書記長、書記次長)で取り組みました。 2018年度定期支部大会で現行体制となった際、四役5名の内4人が20~30代と大きく若返りました。青年の視点が支部活動に反映しやすくなった一方、労働組合活動の歴史や知識についての理解が浅く、理論武装という点で理事会に対して弱みがあるのではないか、という懸念を抱いていました。 今回、宮城一般本部より勤通大の学習を打診された際は、そのような組織的な弱みを払拭できるのではないかとの期待もあり、快諾しました。 四役会議の中に位置づけ、全員が必ず答案を持ち寄って 学習会は、答案の提出と合わせて年3回、四役会議の中に位置づけて実施しました。支部では直近で勤通大を履修した労組員がおりませんでしたので、チューター役は配置せず、四役5人全員で答案を持ち寄り、回答が食い違った点についてテキストを読んで点検したり、記述問題に対しては押さえるべき大まかな内容はこれではないか、という点を議論したりしました。 支部には現在労組専従職員を配置しておらず、四役も全員昼間は職場で大学生協の業務を行ない、その傍らで労組活動を行なっています。今回の学習会も日頃の多忙な業務の合間を縫っての開催となりましたが、全員が必ず回答を持ち寄り、誰かに任せきりになることなく互いに学び合う姿勢を1年間貫くことができました。 若手とはいえ、大学卒業からは時間が経っているため、哲学や経済学の用語について思い出すのはみな一苦労でした。特に「第2部 資本主義経済と暮らし」においては、資本主義社会を形成する「資本」や「剰余価値」などの経済学用語の覚え直しから取り組みました。また、第1章の哲学部分もかなり読み応えのある内容であったため、学習会では唯物論と観念論の差異など、用語の意味を丁寧に確認しました。 勤通大の学習は、日常の労組活動の「なぜ」に応える 勤通大の学習内容は、日常の労働組合活動の「なぜ」に応えてくれます。今回は四役での学習でしたが、今後は支部役員、青年部など、学習の輪を広げていきたいと思います。