集団受講のとりくみ紹介
勤労者通信大学の学習の基本は独習です。しかし、仲間との集団的な学びの場があれば、疑問を出し合ったり、生活や職場の状況も共有することで、より理解を深めることができます。この間、集団受講にとりくんだ労働組合・団体の経験も参考に、学習の場をつくっていただければと思います。
※集団受講のご相談は、事務局までお気軽にご連絡ください。
集団受講のすすめ方
①学習協などが主催する学習会に参加する
②労働組合などの仲間で集まって、会議の時間とは別に学ぶ場を設ける
③チューターを労働組合の役員や受講生自身が分担をして学ぶ
④読み合わせをしてわからない点を出しあったり、感想交流などで学ぶ
⑤会議で短時間、学びの時間をとって感想交流をする
⑥ZOOMなどを使って広域で学ぶ
※執筆者の肩書は、執筆当時のものです。

松江保健生協労働組合
●確実に受講者の「ちから」になる 松岡弥生(松江保健生協労働組合・書記長) 24春闘前(1月から)に執行委員会にて動画を見てミニ学習会、感想交流をおこなっていました。『スト動画「レッツ・ストライキ」4分53秒』『ベア動画「ベアでハッピーパワーアップ春闘」6分46秒』『夜勤動画「ヤキン規制でゲンキに」9分45秒』動画学習、とても短時間でわかりやすいと評判が良く、さらに学習を広げていきたいと思いました。 2024年2月6日の三役会議にて、勤通大を活用するか、集団講義、受講者、費用等について話しあいました。コロナ前に集団講義(リアル開催)をしていましたが、コロナ後は学習会をおこなうことができずにいました。「学習はとても必要だ」「なかなか、一人で学習するのはハードルが高い」「労働組合の活動をおこなうにあたって、基本的なことを知らないと活動できない」「時間や開催方法を工夫することで参加しやすい方法があるのではないか」と意見が出されました。そして、「入門コース」を執行役員中心に受講することにし、労組員さんにも広く声かけをする。ZOOMにて集団受講、テキストを用いて読みあわせ等おこなう。月1回程度予定。費用ついては全額労組持ちとすることを話しあい。2月7日の執行委員会にて確認されました。 3月4日の24春闘団体交渉後の執行委員会(リアル開催)にて受講申込書に記入。9名の参加申込みがありました。その後、再度、労組員にお知らせ、職場委員に個別にお知らせをし、職場委員1名の受講申込みがあり、合計10名が受講することになりました。 5月もしくは6月にスタートしたかったのですが24春闘の団体交渉が6月まで長引き、なかなかスタートできませんでしたが、8月21日に第1回目「とびらをひらく」「第1節 自分の生活を大事にする」8名参加。10月16日に第2回目「第2節 働くことについて」8名参加。読みあわせをし、感想交流をしています。ZOOMでおこなうことによって仕事が終わって家事をし、その後に執行委員会、学習会をおこなうというスケジュールだと比較的参加しやすいのではないかと思っています。勤務の関係で全員そろうことは難しいですが、参加できる時に参加するというハードルを下げ、少しずつ学習をすすめています。ゆっくりですが、確実に受講者の「ちから」になると思っています。(2024年度)
広島県医労連
●集まれば元気!学びは力に! 煙﨑久美子(広島県医労連・書記長) 書記の採用は、以前は各組織のいわゆる「活動家」と言われる役員の知り合い、所謂「伝(つて)」で採用に至っている場合が多く、個人の能力や経験主義に頼り、ものの見方・考え方ができていなかったという反省があります。しかし労働組合書記は、組合での一般事務だけでなく、そこの役員を支え、育て、また組合員の「駆け込み寺」「息抜き場」として、書記局にいなくてはならない存在です。 時代も昭和・平成・令和と変わり、「活動家」も気がつけばいまや絶滅危惧種となり、各単組の役員のなり手だけでなく、書記の人材確保も難しい状況になっています。一部の単組では、「活動家」が退職後に書記として労組を支えてくれるところもありますが、書記の採用は広島ではいまや多くの場合、ハローワークを通じて、業務内容「会計や一般事務・雑務」と記して募集し、採用することが普通になってきています。応募される方も「労働組合だから働きやすいだろう」や「一般事務員だから」という事で応募され、入職されているので、役員自身も「他団体(上部団体)の行動」や「夜の行動や休日の行動」に参加をお願しにくいと、遠慮がちになっています。 そもそも学校で「労働組合の歴史」や「組織について」も学ぶことなく、また医療現場の実態も知らないままに書記として入職するわけですから、それは「仕方のない」ことです。 そこで、広島県医労連執行委員会では、組織拡大強化の一環として、労働組合を支えるべく書記に、あらためて学びから始めてもらうため「勤労者勤通大学の入門コースを集団受講する」ことにしました。さらに受講しやすいように「月1回のペース」で、「勤務時間内」で、「学習会会場は県医労連の書記局」で、「交通費は県医労連負担」としました。さらに「県医労連執行委員もなるべく参加し、書記に現場実態を聞いてもらおう」と、いうことを決めました。 募集の結果、3組織から6名の書記が受講することになりました。講師を広島労働者学習協議会会長の今谷賢二さんにお願いし、第一金曜日10時から2時間、テキストに沿って学習をしています。毎回の学習会では「章ごとに担当者を決め、事前に読み、その概要を報告するとともに、感想を文章にして当日の学習会で発表する」という課題がありますが、今谷先生の雑学や感想交流で盛り上がり、「集まって学ぶのが楽しい」「書記同志のつながりが出来て嬉しい」「社会に対するモヤモヤが晴れた気がする」との声が寄せられています。また、「10年以上書記として働いてきたが、初めて学びの場を与えてもらった、知らなかったことばかり、早くこの機会を与えてほしかった」と言われるベテラン書記もいました。 この学習会も2月で終わる予定ですが、「まだまだ学びたい」「繋がりたい」「もっと深く知りたい」との声に押され、引きつづき勤通大を受講する予定です。次の労働組合コースには私自身も含め執行部役員にも参加を広げ、「学びを力に」ともに組織強化拡大につなげていきたいと思います。 最後に受講生の感想文を紹介します。 「介護の現場にいた私は、世の中の理不尽さを感じつつも「自己責任論」に追い立てられていたように思います。政府のウソや、耳に心地よい話しを鵜呑みにして、問題から目を背けていたように感じます。学ぶ機会に恵まれ、やっと私たちの置かれている状況を把握することができました。医療、介護、福祉に働く仲間が加入する労働組合の書記として、社会保障削減の問題はもちろん、憲法を守り平和への思いを強く訴える必要があります。現場で奮闘し、ギリギリを耐えてくれている仲間と一緒に、平和な未来、誰もが暮らしやすい社会を築くために、これからの学びを広げ、行動しなければなりません。積み重ねてこられた運動を、持続発展させるために、小さな歩みかもしれませんが、あきらめない心を育てていきたいと思います。」(2024年度)
全京都建築労働組合
●書記局教育の一環として 京建労(全京都建築労働組合)は、京都府下に北は丹後から南は相楽まで20の支部があり、組合員数は16,951人(2024年11月末)、建設で働く仲間なら、誰でも一人でも加入できる労働組合です。創立は1950年で来年75周年を迎えます。建設労働者の社会的・経済的・政治的地位向上のために活動しています。非専従の役員は約900人で、活動方針に責任を持つ専従書記局員と一般事務を担う事務局員あわせて約100人が勤務しています。 京建労では、科学的社会主義の基礎理論を学ぶことで労働組合の専従としての必要な知識や確信を身につけるだけでなく、みずからの生き方や考え方を学び、広げる場と位置づけて、長年にわたり勤労者通信大学のスクーリングを書記局教育の一環としてとりくんできました。 今年度は2年ぶりに開校し、この間新しく、書記局員としての第一歩を踏み出した4人と「学習制度化委員」を務める専従役員2人がチューターとして参加し、基礎理論コースを学んでいます。 書記局員として京建労に勤務する経緯はさまざまありますが、非正規の雇用形態で働き、社会の矛盾を抱えながら、人生を歩んできた仲間が労働組合の専従者として活動するために大切な学習機会となっています。 スクーリングに先立って7月17日に行われた開校式には、関西勤労者教育協会の中田進先生を講師に「労働組合の専従書記局が勤労者通信大学で学ぶ意義」についての記念講演がおこなわれ、情勢を学び、事実を他の事実と結びつけることで真実を見抜くことの重要性を中田先生らしくユーモアあふれる話術で楽しく学ぶ講演となりました。 受講生からは「SNS等で情報があふれている中『真実を見抜く力』『生きる指針』を身に付けられるようになりだい」「今の情勢が『当たり前』『仕方ない』を思い込まされていたと気づき、ゾッとした。『当たり前じゃない』『おかしい』と、要求を出していける社会にしないといけない」「京建労に入局して学べる機会に感謝して勉強したい」などの感想が寄せられました。 スクーリングは、全3回を開催し、1章ずつおこなっています。担当するパートを割り振り、各自でレジメを用意し報告、みんなで疑問点の交流と議論をおこない、テストも実施する形ですすめ、学びを深めています。(2024年度)
東京公務公共一般労働組合
●組合のそもそもから学習する機会の必要性を感じていた 松崎真介(東京公務公共一般労働組合・書記長) 東京公務公共一般労働組合(以下、公共一般)は、自治体で働く非正規公務員をはじめ、自治体の外郭団体、委託先労働者などが加入する個人加盟組合で2500人ほどの組合員がいます。公共一般は、2024年に2つの教室を設け、勤通大の集団学習にとりくみました。学習にとりくむきっかけとなったのは、上部団体(東京自治労連)が修了証の提出を条件に全額補助する制度が設けられたことです。 併せて、組合結成当時から運動を担ってきたベテラン役員が高齢化していく中、新しく役員となった人たちが本部・支部それぞれで増えてきました。「労働組合とは」「組合は何をする組織なのか」など、組合のそもそもから学習する機会の必要性を感じていたところでした。そのような中、上部団体からの補助が学習活動をはじめるきっかけをつくってくれました。 教室を設けるにあたり、複数の地域支部の組合員を対象にした教室と、それ以外の支部から受講したい人が参加できる教室の2種類を設けました。組合内で案内を通知し、受講者を募集すると同時に、本部が「この人には受講してほしい」という人に対し、個別に受講を働きかけ参加を促すこともおこないました。全体の参加者は15人です。受講者の構成は、支部や本部の役員として活動している組合員や比較的加入歴が浅い組合員が参加しました。結果として、当初イメージしていた対象者に受講してもらうことができました。 私は推薦チューターとして、一方の教室の担当者として関わりました。教室は、東京労働会館内の会議室とWEBの併用開催でおこないましたが、結果的に受講者全員が会場参加で学習しました。講師を誰に頼めばいいか当初悩みましたが、勤通大事務局にも問合せをしたところ、公共一般の組合員で労働者教育に関わっていたE組合員がいたことを助言いただき、お願いすることができました。教室の日程は、月1回開催し、第1回目の時に3回目くらいまでを決め、それ以降の日程は2か月後くらいの教室で改めて調整して決めました。 推薦チューターとして参加しましたが、プログラム内容から講師と相談できたのが良かったです。組合の歴史や運動の経過に沿った学習内容を用意してくれたことが有難かったです。教室運営を実務面で支える立場でしたので、もう少し学習もして臨めればというのが心残りでした。 教室のたびに、受講者から質問を受け、そこからまた議論になるところが良かったです。また、1人でやっていたのでは挫折してしまう場合もありますが、みんなで学習すると質問、意見、議論もあり、教えあうこともできるため、学習も深まると感じました。 今後は、昨年の経験を活かし、より多くの支部から受講者を募りたいと考えています。併せて、勤通大の学習とともに公共一般そのものの学習の機会もつくれないかと思っています。(2024年度)
名古屋市職員労働組合
●昼休みに集まって学習会 長谷川容子(名古屋市職員労働組合・教宣部長) 毎週月曜日の昼休み、さまざまな部署にいる組合員が会議室に集まります。各々昼食を取りながら、テキストを開き、学習会が始まります。 集団受講のきっかけは、新任役員が先輩とともに社会のしくみをあらためて学ぼうと勤通大を申し込んだことです。「せっかくだからみんなで」と市役所内にいる組合員に声をかけ、11名で申し込み、集団受講がスタートしました。初めましての方もいて、数回は緊張して雰囲気がありましたが、読みあわせて、要約し、意見があれば出しあうことを続ける中で、雰囲気も和んできました。疑問や質問、わからないことを出しあい、それがみんなの理解につながっています。 6月から2か月の予定でスタートしましたが、意見を出しあえるようになってくると時間が足りず、12月ですが、延長戦に入っています。テストまでみんなでがんばろう!と、コツコツとすすめているので、みんなで修了したいです。(2024年度)
福岡自治労連
●執行委員が率先して受講し、集団学習 三浦真也(福岡自治労連・書記長) 福岡自治労連では執行委員会で勤労者通信大学の入門コースの集団学習を続けています。ペースは月に1回(毎週第3水曜日に1時間程度)、1つの章を2回に分けてすすめています。 これまでも、組織強化のとりくみとして学習の強化を位置づけていました。また、各加盟労働組合には勤労者通信大学の受講の促進も呼びかけてきました。しかし、「掛け声」だけにとどまり、組合員が具体的に受講するに至ってないのが現状でした。どうすれば、受講がすすむのか、執行委員会の中で議論したところ、執行委員が率先して受講してはどうかと提案され、さらにはみんなで受講するのであれば、みんなで定期的に学習会を設けてはどうかと話がさらに発展しました。 問題は学習会の日程設定でした。福岡自治労連は毎週第3水曜日を四役会議、第4水曜日を執行委員会とし、それぞれ2時間程度おこなっています。毎回議題が盛りだくさんの執行委員会の時間を削ることはできないし、週の中日に会議と学習で3時間もとるのは大変です。議論した結果、第3水曜日四役会議2時間のうち、1時間を勤通大の集団学習にあて四役会議を1時間にしました。四役以外の執行委員も集まる時間が月にもう1日増えることになります。 毎回全員が出席するのは困難ですが、毎月1時間、テキストをもとに学習をおこなっています。まず全員が読んで参加、感想や疑問点、テキストを自分の言葉、説明への置き換え、現在の情勢や日々の活動にも引きつけながら議論をしあっています。 開始して10ヵ月になりますが、チューターの役割の重要さを痛感しています。テキストそのものは科学的社会主義を平易な文章で記述されているのでと思いますが、科学的社会主義の入門としては最適だと思います。しかし内容は奥深く、一つの段落、一つの行をどれだけ豊かに語れるかは、チューターの力量にかかっているということを感じています。 今回の一通りの集団に終わらせず、参加メンバーがさらに学習をすすめて、各単組での学習促進へと広がっていく事をめざし、粘り強く継続していきたいと思います。(2024年度)
日本共産党富山県委員会
●青年分野で活動している若いみなさんと 坂本洋史(日本共産党富山県委員会・書記長) 日本共産党富山県委員会で書記長を努めています。日頃、一緒に青年分野で活動している若いみなさんに対して、「科学的社会主義の理論を系統的に学ぶ絶好の教材で『勤労者通信大学』というものがあるが取り組んでみては?」と呼びかけたところ、民青同盟員や現役世代の方など若い人を中心に7名が申し込んでくれました。少し遅れましたが、6月からスタートしました。 本部のスクーリングに参加したり、7月には勤通大本部からオンラインで特別講義も行っていただいたり、モチベーションを高めてきました。独自のLINEグループもつくって意見交換したり、資料共有をしたりしてきました。各メンバーは地域も離れていますので、オンライン会議アプリをつかって、何度か独自の交流会も行ってきました。 交流の中では、都知事選で断片的・恣意的なSNS情報で圧倒した人物が大量得票したことについて、その背景には哲学的にどんな問題が含まれているのかといった議論を行ない、考えを深めることができました。 2025年正月休みには、合宿形式で二部・三部の学習を行い、特に「剰余価値が生まれるしくみが説明できない」という声もありましたので、それをじっくりと語り合い理解を深める場になりました。その際、テスト問題を最初に一度読み合わせてから議論に入り、再びテスト問題をみんなで解いてみるスタイルを採用し、みんなで頭を突き合わせてテキストを行きつ戻りつして答えを探し合ったことは大変良かったと思います。 参加者からは、「テキストは読んだけど、文字面で追っただけで全然理解していなかった」、「テストの答えを書いて終わりというものではないね。もう1回ちゃんと読まないと」などの感想が出されました。ある50代の女性は勤通大を振り返って、「勤労者通信大学で学ぶ中で、これまで漠然と抱いていた疑問が氷山のように次第に溶け出し、私の思考を大きく変えました。共に学ぶという貴重な経験に感謝し、学んだことを活かして労働運動や社会活動に積極的に参加し、より良い社会の実現に貢献したい」と語っています。 勤通大の学びは、単なる知識としての学びではなく社会を変革する主体である労働者階級として成長するための学びです。低賃金、増税・負担増、長時間労働など様々な困難や忙しさの中でなかで、労働運動や社会変革の運動を担っていける力をつけることができると確信しています。 今年度の日程がもう終わりに近づいており、オンラインも含めメンバー同士の学習会も力にして、全員がテキストの通読とテスト提出ができるよう頑張りたいと思います。 1月に開催された日本共産党の第4回中央委員会総会では、労働学校受講を促進することが言及されました。富山県での勤労者通信大学の取り組みが、時宜にかなった挑戦であったことを実感しています。運動の担い手を育てる学びの場として、勤通大は非常に強力な教育運動の実践です。これに挑戦する人々の輪を、ぜひ2025年も広げたいと思います。(2024年度)
北海道商工団体連合会
●「ものの見方と考え方」の力をつけるため 井上元美(北海道商工団体連合会・事務局長) 北海道商工団体連合会(北商連)は、道内13の民商を抱える組織で、道内37名の事務局員が活動しています。事務局歴34年のベテランから入局半年の新人、年齢64~22歳と幅広い経歴と年齢層です。 勤通大の学習は、いまから20年ほど前に、北商連の前々事務局長の三浦氏の提案で始まりました。その第一期生が私(井上)です。 われわれ民商事務局員は「組織者」として役割が位置づけられています。民商という中小業者団体を組織する上で、業者がいま、どんなことで困っているのか、どんな要求を持っているのかを、その時々の情勢と照らし合わせながら、「ものの見方と考え方」の力をつけるための学習としてすすめています。毎年ではありませんが、入局1~3年を目安に受講者を募り実施しています。 今回の「入門コース」には9名が受講。入局3年以内を対象としましたが、1名が勤通大未経験者(入局22年)だったので一緒に受講しました。年齢構成は22~54歳です。 5月からスタートし、11月までの奇数月で4回の行程でスクーリングの日程を組みました。近郊の受講者は北商連事務所に直接参加し、遠方の受講者はZOOMミーティングを使ったウェブでの受講としました。 今後も、新事務局員を対象にすすめていきますが、数回のスクーリング内で1回でも、直接会場に集まり、勤通大学習を通じて、世の中のことや自分の人生に照らして、お互いに意見交換をできる場を設けたいと思います。(2024年度)
わかやま市民生協労働組合
●若者たちとともに学ぶ 鈴木章宏(わかやま市民生協労働組合・書記長) まず、この学習会を始めるようになったきっかけから話します。それは、2023年5月から始まった和歌山県学習協の第114期労働学校でした。私は、わかやま市民生協労働組合で役員をしているのですが、労働学校になんとか若い人たちに来てもらいたいと声をかけていたのですが、なかなか思うようにはいきませんでした。ただこの114期は、113期も受講されていた女性が、今期は娘さんも誘って受講されていました。その親子ともども知っている方でした。その娘さんは、Mさんです。Mさんは、わかやま市民生協のコープ岩出中央店でパートとして働いている28歳の女性で労働組合員です。 わかやま市民生協労働組合は約300人の労組員で、そのうち約250人がパート職員という組織です。今期の労働学校で、学習協の役員の方から、私に勤労者通信大学の「入門コース」をMさんと一緒にしてみたらとの話を持ちかけられました。そこで私が思いついたのが、せっかくなんだから、なんとか若い人たちがもっと参加して一緒に「入門コース」を学べないかと考えました。 私たちの労働組合の執行委員会では、学習が大事という位置づけで、毎回執行委員会で『学習の友』の中から題材を見つけ、読みあわせをおこなっていました。そしてその頃は、労働組合で正規&パート新人歓迎会を企画していました。当初6月16日(金)が新人歓迎会でしたが、他の行事と重なり日程となってしまい、参加者が少なく、新人歓迎会とならず懇親会となってしまいました。 少ない人数という、このタイミングは、逆に話を持ち出すきっかけにもなりました。そして日頃から労働組合活動に参加してもらっていた若者に声をかけました。労働組合の基礎となる学習を私と一緒にしませんかと二人の若者に声をかけました。 ひとりは生協で働き出して2年目の24歳、女性のKさんです。もうひとりは、2022年に初めて執行委員になったばかりの26歳、男性Nさんです。Kさんは積極的に「いいですよ」と言っていただき、Nさんは「Mさん」が参加するなら「いいよ」と言ってくれました。内心、その時点で「よっしゃ」という感じでした。その後、Mさんに連絡し、みんなで一緒に「入門コース」を学習しようよと話し、OKをもらいました。そしてNさんにも連絡し、Mさんも一緒に参加するからと、結局4人で勤労者通信大学の「入門コース」を学ぶこととなりました。 すぐに動き出すことが大事だと思い、早速、学習プログラムを作成し、毎月第3火曜日の18:00~19:30本部の会議室を借りて、4人で始めました。第1回目は7月18日でした。みんな忘れないで参加しました。学習方法としてレジュメは私が作成し、●丸単位で一人ずつ順番に読みあわせをおこない、読んだところで、ポイントと思うことを発言するという方法ですすめました。全員が読み、全員がコメントを発言するという全員参加型の形態をとりました。 最初は結構“むずい”漢字があったり、「なんて読む」と聞きながらの始まりでした。1講義で1章分を終わる予定ですすめました。少しずつみんなが理解を深めてきているのが実感でき、「ワクワク」してきます。そして、学んだことが仕事や労働組合の“団体交渉”などで実践として活用できればと期待しています。 また今回の、小さな輪が、次の輪につながっていければと思います。更に、今うれしいことは、参加した仲間がみんな執行委員に立候補し、現在一緒に組合活動にも参加し、堂々と団体交渉でも発言していることです。「知は力なり」「継続は力なり」を実感するこの頃です。若い世代へと学習も引き継がれたら最高ですね。(2023年度)
北海道機関紙印刷労働組合
●一人ひとりが主役として輝ける労働組合を目指して 齊藤憲之(北海道機関紙印刷労働組合・書記長) 全印総連札幌地連、北海道機関紙印刷労働組合で書記長をしております齊藤です。 私たちの組合は、規模は大きくないですが、年末一時金要求や春闘など時節ごとのとりくみ、また労働環境の改善要求などさまざまな課題にとりくんでいます。 私が今回、勤労者通信大学を受講したきっかけですが、私は組合執行委員として4年目、今期より書記長として執行部の運営を任せられることになり、私たちの労働環境をより良いものに変えていく中で考えたことは、組合員からの相談や、会社に対する要求を訴える上での団体交渉などで必要になるであろう労働運動に関する知識や情報を得る機会をあまり求めてこなかったということでした。 労働運動に関する正しい知識は、私が組合執行部に携わる上で、また、組合員と職場環境を守る上で必要なものだと感じたからです。その思いを委員長に相談したところ、「ならば一度執行部全員で労働組合とは何か、労働運動とは何かを学習する機会を得てみてはどうか」とのアドバイスをいただき、執行部のみなさんに相談、その上で過去に委員長が受講した経験から勤労者通信大学の労働組合コースを受講することとなりました。 4月に入校し、届いたテキストをまずはじっくりと読むことから始めました。テキストは非常に読みやすく、時代の変化で生まれた新しい言葉や世界情勢にも応じた内容で、私自身が一労働者として世の中とどう向きあっていけばよいか、人間らしく働いていくための要求とは何かなど、非常に有意義な知識を得ることができました。 執行部内での学習としては折に触れ、互いの学習状況を報告しあい、疑問や質問があれば話しあうディスカッション方式ですすめていきました。ほぼ全員がテストを終えることができたと聞いて安心しました。 今後もさらに学習の機会を増やし、一人ひとりが、主役として輝ける労働組合を目指していきたいです。(2023年度)
全司法労働組合福岡支部
●学び続ける必要性を確認できたいい機会に 牧山利春(全司法労働組合福岡支部) 全司法福岡支部は、支部、分会、女性、青年の各機関で運営していますが、30代中盤から40代の中堅役員が不在の機関がある等、中堅役員が不足しています。そのため、学習習慣や学習素材が先輩から後輩に引き継がれておらず、20代から30代前半の若手役員に勤通大の受講や『学習の友』購読を勧めても、敬遠されたり、反応が薄い状況にあります。 一方で、役員の大半を占める50代の役員には、これからの環境の変化等を想起したときに、科学的社会主義の基礎理論を学び直したいとのニーズがありました。そこで、まずは50代が楽しく学んでいる姿を若手役員に見てもらうとともに、若手役員と共に学べるチューター候補としてのスキルを身に着けようと、50代の役員5名(30年ぶりの受講者3名、新規受講者2名)で基礎理論コースを受講することになりました。 独習を基本に、テストの提出に合わせて3回、組合事務室で意見交換を行う方法で学習することにしたものの、50代の役員5名の日程調整は思いのほか難しく、全員揃っての意見交換には至りませんでしたが、親世代の役員がテキストを手に学び、その後に懇親を深めている姿を、組合事務室に立ち寄った若手役員の目に留めることはできたようです。今後は、若手役員に、学ぶことの楽しさを伝える努力を重ねながら、まずは労働組合コースの受講を広げていきたいと考えています。 最後に、基礎理論コースは、改訂も丁寧に重ねられており、最近の情勢についても、労働者・国民のたたかいの歴史のなかで捉えることができました。論文を中心にテストの提出に苦戦している状況にありますが、ともに学び直した50代が階級的自覚を持った仲間としてあらためて団結し、これから活躍する新しい仲間を迎えることができるように、学び続ける必要性を確認できたいい機会となりました。(2023年度)